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3キャリア対応ゲームアプリシリーズ、「夢魔の天蓋」「夢幻狂詩ネクロノミコン」「夢幻舞葬モンストラバルツ」について考察やら妄想やら色々。
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 ジンは、少し考えるように煙草を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。その仕種は年季の入ったヘビースモーカーそのものだ。
「…半年だ」
「半年…」
 言われた時間をそのまま繰り返す。半年後か、あれから。頭に染み通っていくまでに少し時間がかかる。そんな実感は湧いてこない。
「そんなに、経ってるのか」
「ああ」
 短く返事を返すジンに嘘偽りはない。そもそも、ジンが嘘を吐いたところを見たことが無いし、嘘を吐いて白々しくいられるような器用な奴でもない事は、よく知っている。
 だけどやっぱり、実感は湧かない。ただ、少し居眠りをして目が覚めた、そんな感覚があるだけだったから。……いや、多分、目覚めたという夢を見てたってオチだろう。第一、俺がここにいられる筈は無いのだから。
 俺は、そう、目の前の魔法使いに、機能を停止されたのだから。…そして、俺もそれを望んだ。目覚めていてはいけない存在と化した事を、知ってしまったから。皮肉にも、そうなってしまった瞬間に。
「だから、宝鍵を……切断、したのか?」
 中身のない袖。宝鍵を懐に抱えるでもなく、ただ、何もない左腕。気になっていた。恐らく、一番。
「ああ。切った。魔力の供給源であった奴が消えた今、あれは単なる呪染された腕でしかない。だから切った。被害が広がる前に」
「呪染された……腕、か」
 いびつな形をしていたのを覚えている。ジンの腕も怖いくらい変形していたが、俺は、それよりも、呪染され死を望んだあの中尉の事を思い出してた。
 かなりの部分が捻曲がり、それでも目は、表情は、そのままで。
 あの時は、悲しくて、でも怒りもあって、こんな悲しい現実を見せられて、黙っていられなくて……。まさか、自分も同じような境遇になるなんて、思っても見なかった。
 ……まだ夢を見ていられるだけ、幸せなのかもしれないが。
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