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3キャリア対応ゲームアプリシリーズ、「夢魔の天蓋」「夢幻狂詩ネクロノミコン」「夢幻舞葬モンストラバルツ」について考察やら妄想やら色々。
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「リュウスケ様は」
 ふと、思い出したかのようにパットが言った。
「流暢な英語を話されるのですね」
 言われて、隆介は少女の顔を覗き込むように見た。彼女には相変わらず表情は無く、話しながらも淡々と作業を進めて居る様は機械的だった。
 隆介とパットは正直暇を持て余して居た。現在、パットの隣にはいつも彼女が付き添って居る主人の姿は無く、隆介を高慢な態度でこき使う魔術師も地下に籠ったままだった。だからといって自由が与えられて居る訳でも無く、結局、パットが図書館の掃除を始めたのに習って、隆介も掃除を手伝う位しかする事が無かったのだ。
「…基礎は日本で勉強したものだけどね」
 ネイティブな言い回しや細かいイントネーション等は、こちらに渡って来てから覚えた。生活する上で必然的に覚えねばならなかったし、気負いも有ったと思う。留学したからにはそれを活かせるようになりたい。それなりの費用が掛かって居るのだから、それに見合う実績を。経験を活かせる就職を。そして、一人残された母親を早く安心させたい。
 どれも、今となっては叶わないものなのだが。
「レイモンド様より、日本の方だとお聞きしていたので、話が上手く通じるかと不安でした」
「そっか」
 確かにそう思う。それが普通だ。隆介は常日頃から実践的な英語を習得する為に、進んで街に出向き、大学の友人と積極的に話し、気になる事は些細な事でも訊く様にして居た。
 …そういえば、大学の友人達はどうして居るだろうか。突然の休学に心配くらいはしてくれて居るのだろうか。連絡を取ろうにも外部との連絡すら許されて居ない。
 ……自分の事も、いずれは、過去の事として忘れ去られて行くのだろうが。
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