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3キャリア対応ゲームアプリシリーズ、「夢魔の天蓋」「夢幻狂詩ネクロノミコン」「夢幻舞葬モンストラバルツ」について考察やら妄想やら色々。
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 まぁ、こういう場合の予感ってやつは大概当たるものなんだろうな。これがただの気のせいならどんなにいいだろうと思うが。
 夢ってやつは繰り返すんだろうか。それとも、流れていくのだろうか。いや、どちらもか。

 きっと似てるんだろうな。そう思う。隣で煙草を吸うジンの姿。かつて彼が憧れていたという、その父親の姿に。ジンに言っても否定するだけだろうが。
 それに、その『父親』は、ジンから様々なものを奪った。大切なものを。
 知らない時はわからなかった。
 ジンは何も語らなかったから。
 適当にごまかすことも、おどける事も出来ない不器用な男は、ただ黙っていた。訳がわからずイライラもしたが、全てを知った今、どんな気持ちで黙っていたのだろうと思う。

 飲み込んで、抱えるには大きすぎただろう。だから教授もジンを気にかけていたのだろう。
 そして多分、それが取り除かれた後に出来た穴は大きく、深いだろう。
 その穴を埋める術は、見つかったのだろうか。
 これから彼は、どうやって生きていくのだろうか。
 魔法使いとして。
 それとも、もっと別の。
 別の。

 …夢を。

 ああ、そんな事を思ううちに、夢から醒めてしまうな。
 いや、醒める事はないのか。
 次の夢を見るだけ。
 夢から、また夢へ。

 視界に段々霞がかかってくる。僅かずつ歪んで、それから色味が失われていく。白く、モノクロームに。

 ……もしかしたら、目が醒めたという夢を見るだけかもしれない。
 そしてまた夢を見続けるのだ。

 眠る事を、望んだのだから。


 次の瞬間、視界に公園は写っていなかった。
 ベンチに腰掛けてもいないし、隣にジンはいない。


 ただ、口には煙草が、あった。

END
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 しばらく二人の間に沈黙が走った。ジンは、根本まで吸い終わった煙草を灰皿に押し付け、懐から煙草の箱を取り出した。片手で器用に開けようとするのを、俺は横からさっと取り上げる。
「……何を」
「俺にも一本寄越せ」
「……」
 何も言わずにただ睨むジンを尻目に、二本箱から取り出して一本くわえ、もう一本を、フィルター側を向けて、ジンに差し出した。
 少しの間ジンはそれをただ見つめていたが、やがて右手が伸びて来て煙草を取り、口にくわえる。懐からライターを取り出して火を付け、こっちにも差し出して来た。
 吸い込んだ煙は苦く、少し噎せそうになる。
 ジンは、遠くを歩く親子連れをぼんやりと眺めながら、ゆっくり煙を吐き出していた。
「お前の母親は、報奨金の受け取りを断るそうだ」
「ふぅん…報奨金が出るのか、俺にも」
「ああ。法外な金額だ。一般人なら一生働かなくてもいい額だろう」
 何だか意外な気もした。もう居なくなったも同然なのに、金が貰えるなんて。
「お前が貰った金だから貰うわけにいかない…そう言っていた」
「母さんらしいや。俺の仕送りも、いらないって何度も言われたしな」
 意地みたいなもんだった。少ない金額だったし、母さんにも仕事がある。多分、本当はそれほど必要なかったのだろう。
 それが、法外だと言われる金額になっても。
 一目逢いたかったけど、何だかそれは無理みたいだ。
 俺はきっと、ここでジンと話をするのが精一杯だと思う。
 ジンは、少し考えるように煙草を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。その仕種は年季の入ったヘビースモーカーそのものだ。
「…半年だ」
「半年…」
 言われた時間をそのまま繰り返す。半年後か、あれから。頭に染み通っていくまでに少し時間がかかる。そんな実感は湧いてこない。
「そんなに、経ってるのか」
「ああ」
 短く返事を返すジンに嘘偽りはない。そもそも、ジンが嘘を吐いたところを見たことが無いし、嘘を吐いて白々しくいられるような器用な奴でもない事は、よく知っている。
 だけどやっぱり、実感は湧かない。ただ、少し居眠りをして目が覚めた、そんな感覚があるだけだったから。……いや、多分、目覚めたという夢を見てたってオチだろう。第一、俺がここにいられる筈は無いのだから。
 俺は、そう、目の前の魔法使いに、機能を停止されたのだから。…そして、俺もそれを望んだ。目覚めていてはいけない存在と化した事を、知ってしまったから。皮肉にも、そうなってしまった瞬間に。
「だから、宝鍵を……切断、したのか?」
 中身のない袖。宝鍵を懐に抱えるでもなく、ただ、何もない左腕。気になっていた。恐らく、一番。
「ああ。切った。魔力の供給源であった奴が消えた今、あれは単なる呪染された腕でしかない。だから切った。被害が広がる前に」
「呪染された……腕、か」
 いびつな形をしていたのを覚えている。ジンの腕も怖いくらい変形していたが、俺は、それよりも、呪染され死を望んだあの中尉の事を思い出してた。
 かなりの部分が捻曲がり、それでも目は、表情は、そのままで。
 あの時は、悲しくて、でも怒りもあって、こんな悲しい現実を見せられて、黙っていられなくて……。まさか、自分も同じような境遇になるなんて、思っても見なかった。
 ……まだ夢を見ていられるだけ、幸せなのかもしれないが。
「一人で日本へ?」
「いや、Ms.クインも一緒だ」
「今は」
 大事な話だろう、奇認会にとっても。なのに姿が見えないのは不思議だった。
「ホテルにいる。同行は断った」
「何で」
 即座に疑問が口をつく。
 問われたジンは、少し躊躇うように目を泳がせ、煙草を大きく吸うと、ゆっくり煙を吐き出した。そして、口を開く。
「……ただ、俺から話したかっただけだ」
「そうか……」
 少し、意外だった。何でもはっきり言う奴だから、Ms.クインが止めるかと思っていた。
「信じてなかったろ?昔から、超常現象みたいのは信じなかったからな」
「ああ……。だが、何となく察したようだった」
「……そう、か」
 ジンが嘘を言っている訳ではないと、分かってしまったのだろう。母さんは、あれでいてなかなかカンの鋭い人だから。全てを信じた訳ではないにせよ。
 大体、俺だって未だにどこか信じられずにいる。あれは夢だったのではないか、と、
 いや、今こうしてここに居るのが夢…なのか?一体、どこから夢で、どこまでが現実の出来事だった?
 ……わからない。時間の感覚も曖昧な気がする。
「……あれから、どの位経ってるんだ」
 ふと思った疑問を投げ掛けてみる。
 コンビニに着くと、中には入らずに自動販売機で煙草を買う。ジンの買った銘柄が、日本に居た頃自分が吸っていたものと同じもので、思わず苦笑が零れた。
「……何だ」
「何でもない」
 睨まれ、俺はまた苦笑した。多分、何でも良かったんだろう、そんな買い方だ。自動販売機の、一番目に止まりやすい場所にボタンがある。
 右手と、口を使ってフィルムを剥がし、一本口にくわえる。その動作を見ながら、そこで初めて気が付いた。
 左腕が、ない。
 前は確か、変形してしまったあの腕を、服の内側、カバーの中にしまい込んでいた。でも今はそれすらない。左の肩から下には何もない。
 少し懐かしいような、煙草の香りが漂って来た頃、ジンは再び歩き出していた。

 向かった先には公園があった。大して広くもない所だが、それでも都会の中で緑に触れ合える貴重な場所。
「懐かしいな。よく来てたよ、ここ」
 あまり変わってない。
「……来る時に見かけたんでな。話すには調度いいだろ」
 そう俺に言って、ジンはベンチに座り、設置されている灰皿に灰を落とす。俺はその隣に腰掛けた。周りに人はいない。今は何時か分からないが、そういう微妙な時間なんだろう。
 
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