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3キャリア対応ゲームアプリシリーズ、「夢魔の天蓋」「夢幻狂詩ネクロノミコン」「夢幻舞葬モンストラバルツ」について考察やら妄想やら色々。
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 その時私は、この子は助からないかもしれないと思った。

 突如現れた異界の門。その只中で、ジンを発見した、その時。ジンの左腕は既に、魔素に侵され形を歪めてしまっていた。
 魔素に侵されれば、帰依者となるしかない。魔術的措置を施せば、そう、今すぐなら助かるかもしれない。が、その左腕は確実に失う事になろう。
 だが、この異界の規模、渦巻く魔素の量からして、措置が間に合うかどうか……。

 私はそれが杞憂である事を望んだ。
 もう一つ、抱える最悪の予感と共に、思い過ごしならよいと。


 左腕を抱えるようにしているジンは、私の姿を見ると驚いたような顔をして、それから直ぐに手を差し延べた。歪んでしまった方の手を。
 助けを求めている。そう思い駆け寄る私に、ジンは。
「……界の掌握は」
 と、そう言った。……それは未だだ、そう言おうとして少し躊躇った。先ずはジンを連れて出る事が肝要だろう。
 だが、ジンの科白には、続きがあったのだ。予想だにしない続きが。
「……既に、済んでいます……後は、自己崩…壊の、術式、を」
 済んでいる?
 この異界を一人で……?いや、誰か協力者がいたのか?
 ……いや、それは有り得ない。ここには彼以外には「人間」はいない。その事実は、既に確かめた。
 消耗しきった身体をヨロヨロと動かし、術式を始めようとするジンを、私は止めた。
「あとは私がやろう。その魔素がこれ以上侵食しないようにせねば……」
「……心配、いりません……教授……れを……媒……し………開……」
 何だと?
 意識を手放しかけたジンが途切れ途切れに言った言葉に、私は耳を疑った。

『これを触媒にして術式を展開します』

 これ?
 これとは、その左腕の事か?
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