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3キャリア対応ゲームアプリシリーズ、「夢魔の天蓋」「夢幻狂詩ネクロノミコン」「夢幻舞葬モンストラバルツ」について考察やら妄想やら色々。
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「名前を付けねばならんな」
 それに。その左腕に。
 魔術の媒介にするなら尚更。名前を内なる第三界に記し、呪文に組み込む事で、容易に魔術の施行に使用する事が出来る。私は道具の全てに名前を付けているし、恐らくあ奴もそうだったであろう。
 ジンは、その捻れた左腕を見つめながら、ぽつり言った。
「名前なら、付けました」
「何と?」
「……宝鍵、と」
「そうか」
 それはジンにとっての銀の鍵となるのだろうか。ランドルフ・カーターはそれを得て夢見る力を取り戻し、夢の世界へ旅立つ事が出来たが、ジンはどうか。
 私には、それを得る事でジンは夢見る力を失ったように思えた。
 ああしかし、どうする事も出来ないだろうという確信はある。馬鹿な悪友に対しても、その息子に対しても。既に現役を退き、好きな本に囲まれた余生を過ごそうとしている者にとって、その渦中に飛び込むのはあまりに酷といえよう。
 出来る事は、その息子に、ジン・レイカーに、私の魔術の知識と技術を継承する事ぐらいだ。
 本来ならば、師である筈の父親の役目。だがその父親はあんな事になってしまった。だが放って置けば、ジンはがむしゃらに飛び込んで行くだろう。命知らずな行為と解っていながら。
 それにその左腕…宝鍵も、完全に安定し、ジンのものになっている訳では無い。
 だから、せめて力を付けるまで。
 宝鍵がジンの手に、完全に握られるまで。

「……私の弟子になりなさい、ジン」


end
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